桜田ヒロキ2025年1月7日 11:00 pm
【高い声を出すためには強い息が必要なのか?】
発声に関する伝統的な考え方では、「高い声は腹圧で出すべき」「腹式呼吸が重要」と言われてきました。しかし、最新の科学的研究によって、この定説には誤りがあることが明らかになっています。
低い音域では、声帯へのストレスが低く、柔らかいため、強い呼気を声帯に当てると声帯がしなり、結果として声帯へのストレスが増加します。この状態では、声帯が硬くなり、ピッチが約3度上昇することが観察されます。
一方、高い音域では、声帯へのストレスが既に強く、硬くなっています。このため、強い呼気を与えてもピッチの上昇はほとんど見られません。
高い音を出すためには、声帯のストレス(硬さ)が重要です。具体的には、輪状甲状筋が声帯を引っ張る力と、甲状披裂筋が声帯を縮める力のバランスを取ることが求められます。
このバランスを上手に調整するための訓練が、現在の科学的知見に基づくボイストレーニングの基本となっています。