桜田ヒロキ2026年5月21日 1:53 pm
発声練習では良い声なのに、曲になると微妙になる。
これは珍しいことではありません。
なぜなら、「良い発声」と「良い歌唱」は、見ているポイントが違うからです。
運動学習では、フィードバックを大きく分けると、
KP
(Knowledge of Performance/ノレッジ・オブ・パフォーマンス)
KR
(Knowledge of Results/ノレッジ・オブ・リザルト)
という考え方があります。
歌で言えば、
KP=発声の効率や動きの質
KR=結果として良い歌唱になっているか
です。
結果として素晴らしい歌になっていれば、発声効率が多少悪くてもOK。
そう考えることもできます。
ただし、良い歌唱だからといって、発声効率が高いとは限りません。
喉への負担が大きければ、継続して日々の公演に耐えられない可能性があります。
そしてプロフェッショナルが難易度の高い楽曲を日々歌わなければならない場合、KP(発声の効率や動きの質)は非常に重要になります。
楽曲難易度が高くない中で素晴らしい歌を歌うのであればKPは必ずしも重要でない場合もあります。
桜田がレッスンしている多くは、プロの歌手や俳優たちです。
「1回できればOK」という状況と、毎公演、一定以上のクオリティで歌い続ける状況は、まったく別です。
ライブパフォーマンスでは、毎公演、かっこいい声を再現できることが求められます。
公演を中止する。
あるいは、公演ごとに著しくクオリティの差が出る。
そうなれば、プロの歌手としては成立しなくなってしまいます。
逆に、発声効率が良くても、良い歌唱になるとは限りません。
喉は楽。
声は出しやすい。
ブリッジもスムーズ。
でも、
歌詞が伝わらない。
表現がいまいち。
フレーズがおかしい。
結果的に、音楽的に良い歌唱とは言えないことがあります。
だからボイストレーニングでは、KPとKRの両方を見る必要があります。
KPで、
発声の効率や安全性を整える。
KRで、
歌として成立しているかを確認する。
発声練習は、良い動きを作るためのもの。
歌唱は、その動きを使って良い結果を出すためのもの。
良い発声を作る。
でも、最後は歌にする。
この両方が必要です。