金子 恭平2026年3月17日 7:13 am
【変声期中はなぜ裏声が出ない?】
男子の声が大きく変わっている真っ最中、あるいは直後は、とにかく歌いづらいものです。
とりわけファルセットは全く出ないという子が多いですが、これは単に技術不足の問題でしょうか?
もちろんそんなことはありません。
理由をひとつひとつ見ていきましょう。
―――――――――
▼声帯サイズの急激な変化
変声期に声帯は小児時の1.6倍もの長さになり、それに伴って厚みも増します。
声帯自体の約80%は「甲状披裂筋」という筋肉ですが、これは地声を作るためのもの。
声帯を外側から傾け、引き伸ばして薄くしなければ裏声は出せません。
しかし、その働きをする「輪状甲状筋」がアンバランスに未発達なため、充分な伸展が得られないのです。
―――――――――
▼脳が失う「運動地図」
脳は、喉頭の各筋肉へ送るべき電気信号の強さとタイミングを「モーター・マップ(運動地図)」として保持しています。
しかし先述した声帯サイズの激変により、脳からの命令がほとんど通用しなくなってしまうのです。
運動地図を気長に再構築しなければなりません。
―――――――――
▼硬さの足りない声帯靭帯
成人の声帯の粘膜層は、三層構造になっているといわれています。
変声期前後はこの細胞の密度が低く、あらゆる高音発声に必要な張力に耐えられません。
―――――――――
▼では一体いつから裏声が出るようになるの?
一般的には、喉頭の成長が落ち着く15~18歳のあいだにファルセット発声が可能になるといわれています。
ミックスボイスにはさらに繊細な筋出力バランスと周波数コントロールが求められますが、これには声帯軟骨の骨化(硬化)がある程度済んでいる必要があります。
この時期は、おおむね18~23歳程度になるようです。
変声期中や直後はフラストレーションが溜まるものですが、思うように歌えないのは当然なのです。
この時期は無理のないボイストレーニングで、各筋肉の操作と協調を身につけていきましょう!