声帯で作られる「原音」について
2015.02.23
こんにちは。VTの桜田ヒロキです。
人間はこの3つのプロセスを使い声を生成していますと言うお話の続きです。
Respiration(呼吸)
Phonation(発音)
Resonation(共鳴)
今日は前回の呼吸に引き続き、Phonation(発音)発音について書いてみましょう。
Phonation (発音)
ここで考える発音は、「音を発する原音」と言う観点で書いています。
人間の声は声帯と言うのど仏の中側にある、小さな小さなヒダで作られています。
個人差はありますが、1枚辺り小指の爪よりも小さいと思っていいらしいです。
この声帯を閉じて息を当てて振動するわけですが、声帯を閉じる(内転させる)のは外側輪状披裂筋(LCA)と呼ばれる筋肉です。
写真は桜田ヒロキの声帯です。
アワアワしているのは何かのアレルギー反応ではないかと指摘されました。
多分、ホコリでしょうね・・・。
※声帯が閉じている状態(発声時)
ここで作られる原音は喉頭原音と呼ばれています。
喉頭原音そのものの音はとても小さな音で、ほとんど個体差はないとされています。
・・・つまりは、「僕の喉頭原音とあなたの喉頭原音は基本的に同じような音である」と考えてよいようです。
喉頭原音の歌や話し声における役割は2つあると考えています。
音程を生成
喉頭原音の最も大きな役割の1つは音程を作ると言う事です。
音程を作るのに使われる筋肉は輪状甲状筋(CT)と言われる「声帯を引っ張る」ための筋肉です。
この筋肉に力が入る事によって声帯を引っ張ったり緩めたりするわけです。
丁度、ゴムバンドで高い音を出すのにはどうすれば良いのか?と考えればわかりやすいですよね。
引っ張れば高い音、引っ張るのを緩めれば低い音になるわけです。
音程を作るというプロセスについて、僕も誤った事を教えていた事がありますが、高い音をつくるために「声帯の振動部位を削減する」と言うのは間違えで、この現象は起こっていません。
これについては、他の機会に詳しく書こうと思います。
音色を生成
音色を生成とありますが、これは主に共鳴(Resonation)の役割になります。
共鳴は「声帯で作られた倍音をブーストする」事ですが、
ここで重要なのは「喉頭原音そのものに倍音が含まれていない場合、共鳴で倍音を作る事はほとんど出来ない」と言う事です。
つまり「無い物はブーストのしようが無い」のですね。
「地声的」な発声
それでは倍音を十分に含む声帯原音とはどのような音でしょうか。
それは声帯と併走している甲状披裂筋(TA)に適度に力が入っており、声帯に十分な張りを維持出来ている状態で作られる音です。
この音は「アヒルの鳴き声」や「ブザーのような音」に似ている原音だそうです。
ただし、ここで注意をしなくてはいけないのは、上記の写真を見ての通りCTとTAは真逆の動きをしているわけで特に高い音ではCTが声帯を引っ張るのを邪魔しない範囲内でTAに力を込める必要があると言う事です。
これがうまく出来ないために地声で怒鳴るとこまで怒鳴り、(TAが優勢)一気に裏声にひっくり返す(CTが優勢)と言う事が起こるわけです。
音程に応じて
「高くなるにつれて徐々にTAをゆるめ、CTに力を入れ(下記写真参照Head Config)」
「低くなるにつれて徐々にTAを入れて、CTを緩める(下記写真参照Pressed Config)」
と言う作業が出来るようになれば、いわゆる地声で裏声のリミットを越えられる発声になるわけですね。
もちろん高くなればなるほど、CTに対してTAに力を入れづらくなる(TAに力を入れると声帯を引っ張れなくなる=音程が上がれなくなる)わけですから、CTそのものにもかなり強靱な力が必要になると言うのは理解出来ますね。
「裏声的」な発声
裏声的な発声をする場合、TAに力がほとんど入っていないため声帯はヒラヒラと張りがなく揺れている状態になります。(下記写真参照Falestto Config)
この時の声帯原音は「口笛の様な音」になっています。
つまり裏声状態では声帯で作られた音がほぼそのまま口から出ているとも考えられますね。
今回のトピックをYoutube動画でも解説していますので、こちらも参考にしてみて下さいね。
次回は、
Resonation(共鳴)
について解説してみようと思います。
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解説しているインストラクター
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セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター(2008年1月〜2013年12月)
VocalizeU認定インストラクター
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中のボイストレーナー。
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間2000レッスン以上を行うボイストレーナー。
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